執筆

「HTML+CSSワークショップ」は、他の本を読むきっかけの本。

2017.04.29 投稿者:藤川麻夕子

ご報告遅くなりました。昨日、4月28日に、私のもう一つの著書「HTML+CSS ワークショップ 手を動かして学ぶWebデザイン」がMdNさんから発売になりました。こちらは私の単著で、紙と電子書籍同時発売です。

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別々の出版社からまったく異なる内容で同時期に2冊の本が発売されることになったのは、私にとってとても驚くべきことでした。特に最後のほうは完全に同時進行になってしまい時間的にはきつかったですが、無事に2冊とも書店に並ぶことになり嬉しく思っています。

ちなみにもう一冊の共著で書いた本「小さなお店&会社のホームページ Jimdo入門」についてはこちらの記事で紹介しています。

ということで、この記事では「HTML+CSS ワークショップ」に対する私の思いを書いていきたいと思います。長々と。

この立ち位置だから、伝えられることがあるはず

私がWeb制作の業務を始めて、今年で17年になります。
17年前にフリーランスでスタートしたころは、デザインやコーディングはもちろん、ディレクションやプランニング、操作レクチャーなどもすべて1人でやっていました。

今はどちらかというとお客さまと制作担当の方との橋渡しのやりとりをすることが多いです。業界内の言葉では「ディレクター」になるのでしょうが、もう少し泥臭い?立ち位置のように思います。

そういう、「HTMLやCSSを書くことを(現在は)専門としていない」立ち位置の私がこういった技術書を書いたことには、個人的にとても意味があると思っています。
専門家は、正しい専門知識を伝えたいと考えます。でもそうじゃない人は、専門知識を学ぶ前にいろんなハードルがあるので、いきなりそういう本を読むのは大変ではないかと思うのです。

私が「そうじゃない人」だからこそ、そういう敷居をさげて「これなら自分でも学べるかもしれない」と感じられる本が書けるのではないか、と考えて、執筆のオファーをお受けしたのでした。

プロになるきっかけの本でありたい

この本は、先日発売されたJimdoの本とはまったく趣が異なり、基本的にはプロ向けの本です。といってもすごく初歩の初歩から解説しているので、すでにこういった業務に関わっている方は感覚的に知っていることからスタートします。「え、ここから書くの!?」というところにボリュームをかなり使っています。

逆に、HTMLやCSSの文法解説に関してはかなりはしょっています。「まずここだけ知っとけ!」というところだけに絞って書いています。専門家から見ると多分、「え、あれもこれも書いてない!」と思われると思います。でも、まずこの本が理解できなければ、他の本は多分理解できないのではないか、と思えるくらいまで伝える情報量を絞っています。

まあ、それでも431ページというとてもページ数の多い本になってしまったのですけれど。当初の計画よりも100ページ以上増えることになってしまったのに対応してくださったMdNの編集さんには本当に感謝しています。

この本を書くにあたり一番時間をかけたのが、「伝えないこと」をどれにするかを決めることでした。今までなんか難しそうでこの手の本を敬遠していた人たちに、これなら読めると思ってもらえたらすごくうれしいです。

「現場ではどうなのか」をできるだけ伝えたかった

この本で特にこだわったのが、Web制作の現場で私がいろいろな人のソースコードを見てきた中で、こういう書き方が多いな、とか、こういう言葉がよく使われているな、と思っていることをできるだけ入れ込んだということです。

Web制作(の代行)というお仕事が生まれてからもう20年は軽く経ちます。世にあるWebサイトには、長い歴史があるものもあれば最新技術をふんだんに使ったものもあります。

長い歴史の中でHTMLやCSSの文法も、コーディング手法も変化していきました。古い組み方のWebサイトは最新技術を使ってないからダメということではなく、現場にはまだまだそういった組み方のコードがあるということも知っていただきたいのです。

制作会社で最新技術を使ってコーディングをしている人たちは、もしかするとそんな古い組み方のソースコードはもう見なくなっているかもしれませんが、私の立ち位置ではまだまだたくさんあります。古くからコーディングをしている方なら知っている「テーブルレイアウト」のサイトも、まだまだたくさんあるのです。

正しい、間違っているというよりも、「今から書くのならそういう組み方はしないけど、当時はこんな組み方をしていたんだな」ということを最初に学ぶ段階で知っておくことは、とても大切だと私は考えています。

コーディングのお仕事は、書けるだけではなく読めることもとても重要になってくるからです。

とにかく書いてほしいです!!

今回の本は「ワークショップ」という名前がついているとおり、サンプルファイルの量がすごく多いです。書籍の中で、ソースコードもとてもたくさん書かれています。本で紹介されているワークは、ぜひやってみていただきたいです。

HTMLやCSSの文法はシンプルですが、それでもいろいろな決まりはあります。本を読んで「なるほど文法はこうなのかー」と頭でわかっても、書いてみると意外とうまくいかないこともあるだろうと思います。そういう、「実際に書いたときのつまづきポイント」を自分で体感してほしいのです。

私がHTMLを覚えたのは、もともとは20年以上前に流行っていたWebチャットからでした。私自身の経験を踏まえても、実際に書くという体験の中で覚えていくのが一番上達が早いと思っています。

書籍に印刷されているコードを実際に書いて動かすという作業は結構たいへんだろうと思います。時間がかかっても、ひとつひとつの意味を考えながら作業をしていくことで、本には書かれていないポイントもいろいろ見えてくるのではないかと思っています。

こんな見た目の本です

この本は400ページ超の本ですが、フルカラーです。そして少し紙が薄いので、パタンと開きます。本を見ながらソースコードを入力するのには適しているのではないかと思っています。

この本がすべて理解できたら、きっとそのときには他の本も読めるようになっているはずです。そのときにきっと、この本がどれだけ基本の基本しか話していないかということに気づくと思います。

みなさんの業務の中でのHTMLやCSSデビューがこの本から始まってくれたら、こんなにうれしいことはないです。これからプロになりたい方、勉強したい方、そしてHTMLやCSSを書いたことのないディレクターのみなさんに、お役に立てるとうれしいです。

どうぞよろしくお願いします!

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